ASTM D638: プラスチックの引張試験
ASTM D638の紹介
ASTM D638は、プラスチックの引張試験を実施するためにASTMインターナショナルによって開発された広く認知された規格です。この試験法はプラスチック材料の引張特性を測定するために不可欠であり、様々な用途における強度や性能を評価する上で極めて重要です。
ASTM D638試験片寸法と試験片タイプ
試験片タイプ |
形状 |
寸法(mm) |
厚さ |
備考 |
タイプI |
ダンベル |
165 × 19 × 3.2 |
3.2 |
ほとんどの素材の標準 |
タイプII |
ダンベル |
50 × 13 × 3.2 |
3.2 |
より小さな試験片サイズを必要とする材料用 |
タイプ III |
ダンベル |
40 × 6.4 × 3.2 |
3.2 |
脆く小さな材料用 |
IV型 |
ダンベル |
60 × 6.4 × 3.2 |
3.2 |
伸びの小さい材料用 |
タイプV |
フラット(長方形 |
80 × 10 × 3.2 |
3.2 |
厚い材料や硬い材料用 |
ASTM規格とその役割
ASTMは、以前は米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)として知られ、広範な材料、製品、システム、サービスに関する技術規格を開発、発行しています。ASTM D638は、特にプラスチックの引張試験手順について概説しており、異なる試験所や業界間における試験結果の一貫性と信頼性を保証しています。
製品設計における引張特性の応用
プラスチックの引張特性を理解することは、エンジニアや設計者が製品に適切な材料を選択するのに役立ちます。自動車部品であれ、家電製品であれ、パッケージングであれ、プラスチック材料が引張応力下でどのような挙動を示すかを知ることは、製品の耐久性と性能を向上させる意思決定に役立ちます。
引張特性に基づくプラスチック材料の比較
プラスチック材料 |
引張強さ (MPa) |
破断伸度 (%) |
ヤング率 (GPa) |
20-30 |
500-800 |
0.2-0.4 |
|
ポリプロピレン |
30-40 |
200-600 |
1.5-2.0 |
ポリスチレン |
50-70 |
2-5 |
3.0-3.5 |
ポリカーボネート |
60-70 |
60-80 |
2.3-2.4 |
ABS |
40-50 |
10-20 |
2.1-2.5 |
引張特性に影響する因子
プラスチックの引張特性には、温度、ひずみ速度、材料組成な ど複数の要因が影響します。これらの影響を理解することは、様々な環境条件や負荷シナリオの下での材料挙動を予測するのに役立ちます。
よくある質問
ASTM D638はどのような目的で使用されるのですか?
ASTM D638は、引張強さ、伸び、ヤング率などのプラスチック材料の引張特性を測定するために使用されます。
なぜ引張試験がプラスチックにとって重要なのですか?
引張試験はプラスチックの強度と柔軟性に関する重要な情報を提供し、エンジニアが特定の用途に適切な材料を選択し、製品の信頼性を確保するのに役立ちます。
ASTM D638試験用の試験片はどのように作成するのですか?
試験片はASTM D638に概説されている寸法と仕様に従って作成され、試験結果の均一性と一貫性を保証します。
ASTM D638はあらゆる種類のプラスチックに適用できますか?
ASTM D638は広範囲のプラスチックに適用できますが、材料によっては正確な結果を得るために特定の試験条件や代替規格が必要となる場合があります。
引張試験の結果に影響を与える要因にはどのようなものがありますか?
温度、ひずみ速度、材料組成などの因子は、ASTM D638試験で測定される引張特性に影響を与える可能性があります。